シャネル

現代女性のニーズを掴んだデザイナー

シャネルの創業者であるガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)は、幼い頃に「ココ」という愛称で呼ばれていたことから「ココ・シャネル」という名称としてよく知られることになりました。
日本においても本名よりも愛称の「ココ」という名前で定着しており、彼女の人生を描いた小説や映画などにもしばしば使われているのを見かけます。

他の有名ファッションデザイナーとシャネルの最も大きな違いと言えるのが女性デザイナーとしてライフスタイル全体がブランドイメージにつながっている点です。
シャネルの服は現在も若い世代の女性を中心に絶大な人気となっていますが、その多くが女性のための女性のデザインというコンセプトを持って作られています。

これはパリで帽子屋として創業をしたココ・シャネルがそれまでの古典主義的なデザインから、新しいライフスタイルを持って生きていく現代女性のためにデザインを作っていったというところが発端となっているからです。
服飾業界においてシャネルの名前を一躍有名にしたのが1913年の第一次大戦前の時期のことで、世界で初めてジャージー素材を使った婦人服を作ったということでした。

それまでは女性の服といえば肌を覆い隠しコルセットで体を固めるといったものが多かったのに対し、日焼けを推奨したり動きやすさを追求した被服を販売したりといったことは大変珍しく注目を浴びました。

スポーツウェアからオートクチュールへ

シャネルというブランドのデザインを理解するためには、やはりココ・シャネルという女性の生き方について知っておく必要があります。
ココ・シャネルはもともとフランスの救貧院で育った少女であり、のちに実業家であるアーサー・カペルの恋人になることでリッツホテルの近くで帽子屋を開くことができるようになります。

当時のフランスでは洋服製作は大規模な投資が必要な工場のようなもので、後ろ盾のない個人が簡単に始めることはほぼ不可能でした。
そこでまずは手軽に開始できる帽子から販売を始め、その中でスポーツ用もしくは下着用であったジャージ素材を婦人服に使用するということを思いつきます。

1913年には本格的なスポーツウェアの店を開き、戦争が始まることで働き始めた女性たちのための服を展開していくようになります。
その後にはオートクチュールの店も開くようになり次々に店舗を展開していくようになります。

シャネルのデザインに共通しているのは機能性だけでなく優雅さや華やかさを同時に持っているということで、一見粗野なイメージのジャージ素材をエレガントに着こなすというところに女性のためのデザインの基本が感じられます。

贅沢を感じさせることこそがシャネルの特徴

ココ・シャネルは存命中にいくつもの名言を残していますが、たびたび登場するキーワードとして「贅沢」ということがあります。

代表的な言葉の一つに「贅沢を貧乏の反対と思っている人がいるけれどそれは違う。贅沢とは下品の反対のこと」というものがあります。
また「贅沢とは心地よいもの。そうでなければ贅沢ではない」といった言葉もあり、身につけて満足度の高い製品にこだわりを持っていたことがわかります。

戦後には特別な人のためのデザインではなくより多くの人に着てもらうためのデザインをすると宣言して再スタートを切っており、その時にも「どんなファッションでも贅沢であることは外せない。贅沢こそ、なによりも重要なことだから」といった言葉を残しています。

シャネルの贅沢へのこだわりを救貧院出身だからと揶揄する声もありますが、一方で「女性がファッションに求めるもの」を誰よりも敏感に感じ取っていたからのことではないかという分析もあります。
ココ・シャネルの没後にはオートクチュールから既製服へと路線は大きく変更されましたが、エレガントさを求めるブランドとしての姿勢は今も貫かれています。